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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
 赤子が誰に似ているか―、そのことについては、お千香は一切考えたくもなかった。定市そっくりの子なんて、想像したくもない。
 美濃屋に帰ってきて以来、定市とは殆ど顔を合わせることもなく過ごしている。定市の方は大店の主人として色々と商用で忙しく、出かけてばかりいるようだ。夜は寄合とかで、寄合の後は吉原に繰り出しているようで、お千香は定市がこのまま吉原の女郎に夢中になってくれることを祈るばかりだった。
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