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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
「旦那さま、何をなさるおつもりですか」
かつては大番頭として手代頭の定市にも睨みをきかせた茂平だが、いかにせん、今は定市は美濃屋の主である。
腰を低くして訊ねると、定市が鼻で嗤った。
「知れたこと、お千香を部屋に連れてゆくのだ。それが、どうかしたか?」
「旦那さま、お内儀さんは今、大事なお身体にございます。何より、お内儀さんに宿っておられるのは、旦那さまのお子さまではありませんか。どうか、何とぞ、今日だけはお許し下さいませ」
かつては大番頭として手代頭の定市にも睨みをきかせた茂平だが、いかにせん、今は定市は美濃屋の主である。
腰を低くして訊ねると、定市が鼻で嗤った。
「知れたこと、お千香を部屋に連れてゆくのだ。それが、どうかしたか?」
「旦那さま、お内儀さんは今、大事なお身体にございます。何より、お内儀さんに宿っておられるのは、旦那さまのお子さまではありませんか。どうか、何とぞ、今日だけはお許し下さいませ」