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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
お千香は生まれながらに哀しい運命を背負い、更にその上、苛酷な人生を生きねばならない哀れな娘であった。
おみつは、お千香が最後に書いた文に頬ずりをしてから、静かに二つに破った。
お千香は手紙の終わりに書いていたのだ。
この遺書を読んだなら、必ず人眼につかぬ方法で処分して欲しいと。
おみつは手紙を更に細かく破ってゆく。
その時、突如として一陣の風が吹き抜け、おみつの手からばらばらになった手紙の断片を奪い去っていった。