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夢のうた~花のように風のように生きて~
第2章 《悲劇の始まり》
 その二日後のことである。
 昼下がり、お千香は定市を探し歩いていた。丁度、定市は表で客の相手をしている最中であった。昼時とて、さしもの広い店内にも客の姿はまばらである。主の定市自ら応対しているのは、武家の奥方とそのうら若き娘らしかった。娘はお千香と同年配のようで、男ぶりも良い若い主人自身が丁重に品物の説明をしている傍で、うっすらと頬を染めている。
 他にも何人かの手代が反物をひろげて、接客をしていた。お千香は頬を上気させる娘を見て、ぼんやりと思った。
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