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夢のうた~花のように風のように生きて~
第2章 《悲劇の始まり》
 お千香は定市より少し距離を置いて、下座に座った。定市の顔を見ていると、先夜のあの忌まわしい記憶が嫌が上にも蘇ってくる。
 この男に何もかも見られていたのかと思うと、恥ずかしさで身も世もない心地になった。
「お願いがあります」
 お千香は両手をついた。
「ホウ、改まって願い事とは何かな」
 今日の定市は、どこまでも穏やかだ。二日前の夜に見せた冷酷な男とは別人のようでさえある。
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