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喘ぐなら、彼の腕の中で
第8章 2人の夜
「……」
莉央が体を起こして、私の顔をじっと見つめる。
………透視しようとしても無駄だよ。
私だって、何でこんなこと言うのか自分でも分からないから。
だけど
今このまま莉央と体を重ねたら、きっと無意識のうちにあなたの名前を呼んでしまう気がして
悔しいけど、先に伝えておこうと思ったの。
「……好きにしろ」
低い声で一言、それだけ言うと
再び私の唇に唇を重ねた。
「……っ ん……」
あ……やばいな……
胸がドキドキしてきた。
さっきとは全然違う、切なくて優しいキス。
舌は入ってこなくて
唇の表面だけを愛撫するような、もどかしささえ感じる口づけ。
この男……キスだけでどれだけのレパートリーを持っているのかしら。
「濡れすぎ。まだ触ってないんだけど」
「……っ ん……あ……」
「……エロすぎるんだよ」
莉央の手が私の足を広げた。
その唇が、鎖骨から胸、お腹へとゆっくりと降りていく。

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