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喘ぐなら、彼の腕の中で
第14章 爆発

沙月が偶然俺のいる会社に入社してきても、何も感じなかった。
誰も愛さないと決めた自分がすっかり定着していたし
沙月も相変わらず、誰かと楽しそうに恋愛をしていたから
ただの飲み仲間という、本来の幼なじみとしての間柄に戻り
この先も一定の距離を保っていくんだろうと思っていた。
………ただ
1ヶ月前、沙月にBARに呼び出されて
酔っぱらったその口から “ 2番目だった ” という言葉を聞いた瞬間
相手が誰かすぐにピンときた俺は、自分の中で黒く渦巻く何かを感じた。
………久しぶりに
心という場所で何かが機能したような感覚。
あの日以来、ずっと触らないと決めていたのに
俺は自分でその感情の理由が分からないまま、翌日あっけなく沙月を抱いてしまった。
今、こうして資料室に向かっているのも
ただ単に芹澤への忠告をする為だけなのか……
それより、もっと違う何かに突き動かされているような気もしている。
「………」
フロアの端の資料室が見えてきて、俺はその扉に手を伸ばした。

