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喘ぐなら、彼の腕の中で
第3章 不変と豹変
 

「綾瀬さーん」


後ろから私を呼ぶ声に振り返ると
パーテーションの裏側から営業の男の子が顔を覗かせた。

この仕切りを隔てた反対側が、莉央が所属する営業部のデスクになっている。


「今宮本さんから内線があって。
祭事のスペースを確認したいらしくて、新宿店の図面ありますか?」

「うん、あるよ。
あなたに渡せばいい?」

「宮本さん、取引先の方と打ち合わせしてて
説明してほしいから綾瀬さんに持ってきてほしいそうです」

「……!」


宮本というのは、莉央の名字。

あの男~~!
人をこき使うのもいい加減にしてよね!

莉央にはいつもこんな感じでパシリに使われる。


「はいはい分かったわよ」
「すいません! 応接室5番です!」


説明も何も、自分だって何度もお店に行ってるんだから分かるはずなのに。

ブツブツ言いながらA2サイズの図面を持って、1つ下の階にある応接室に向かった。





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