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吼える月
第1章 狂宴
倭陵(わりょう)暦498年。
倭陵大陸北方に位置する、黒陵(こくりょう)国。
黒陵の主にて、倭陵を鎮護する四神獣がひとつ、玄武を祀る…"北の祠官(しかん)"が住まい、玄武の神血を汲む、倭陵一の堅固な防御を誇る"北の武神将"に護られている玄武殿――。
その日、漆黒の夜空には……真紅に染まった月が浮かんでいた。
凶兆を告げる不吉な月影は、惨憺たる悲劇の肖像を淡く照らし出す。
床に流れる緋色――。
横たわるは、胸を貫かれた北の祠官。
その骸の横で、少女が獣のように四つん這いになっていた。
彼女の前後に、輝く色彩の男の影――。
後背に立つのは、黄金色の長髪を持つ男。
男は笑った。残忍なほどに美しい笑みで。
そして少女は――
「――っ!?」
まだ未開の濡れてもいない花蕾を、男の猛る肉棒で一気に貫かれ、破瓜の痛みに身を反らせた。
痛みに目が見開かれたのは一瞬。
それでも虚ろに戻る生気ない眼差しからは涙は流れない。
その耳には誰の言葉も届かない。
少女は……破瓜の血の滑りで容赦なく花蕾を穿たれながらも、諦観したように目を伏せ、ただひたすら……その男から命じられた通り、前に立つ……銀の髪を持つ男の肉棒を口に咥え、喉と舌で口淫を続けていた。
口ではまかないきれぬ質量を持つその肉棒は、確実に欲を滾らせているというのに、その男もまた虚ろな眼差しで、ただぼんやりと赤い月を眺めていた。