この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第15章 手紙
もしお前が、リュカに対してなにか思う処があるというのなら――。
サク、力をつけろ。
ゲイからリュカを奪えるほどに。
今のお前は井の中の蛙だ。
広い世界に出ろ。
この世はもしかすると、まだまだ知らぬことが沢山あり、俺達はただ主に飼い慣らされた"犬"にしかすぎないのかもしれねぇ。
サク――。
目を開き、自分の意志で地に立て。
お前自身で、国の常識ではなく、お前なりの「正義」を見つけて貫け。
ひととして必要なものは、ひと通り俺とサラが身につけさせた。
あとはお前次第。
弱いものに目を向けろ。
決して驕るな。
そして己の中の"魔"に打ち勝て。
……お前、自分が契約した魔の正体、わかっているだろ。
お前がそこを一切疑問として口に出さなかったのは、俺に言及されたくなかったからなんだろうが。
玄武と同等の魔……俺もある程度予想はついている。
もしそれが正解なら、懐柔できるお前は……大した奴だよ。
玄武の試練は、最中なにがおきたのかその詳細は口外法度。
それもいいだろう。
俺もずっと知らぬふりをしてやる。サラからもな。
お前はお前らしく生きろ。
この世になにが隠されていようが、お前の信じる道を俺は信じている。