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吼える月
第15章 手紙

 
もしお前が、リュカに対してなにか思う処があるというのなら――。

 
サク、力をつけろ。

ゲイからリュカを奪えるほどに。


今のお前は井の中の蛙だ。


広い世界に出ろ。


この世はもしかすると、まだまだ知らぬことが沢山あり、俺達はただ主に飼い慣らされた"犬"にしかすぎないのかもしれねぇ。



サク――。


目を開き、自分の意志で地に立て。

お前自身で、国の常識ではなく、お前なりの「正義」を見つけて貫け。


ひととして必要なものは、ひと通り俺とサラが身につけさせた。

あとはお前次第。


弱いものに目を向けろ。

決して驕るな。


そして己の中の"魔"に打ち勝て。



……お前、自分が契約した魔の正体、わかっているだろ。

お前がそこを一切疑問として口に出さなかったのは、俺に言及されたくなかったからなんだろうが。


玄武と同等の魔……俺もある程度予想はついている。

もしそれが正解なら、懐柔できるお前は……大した奴だよ。


玄武の試練は、最中なにがおきたのかその詳細は口外法度。

それもいいだろう。


俺もずっと知らぬふりをしてやる。サラからもな。


お前はお前らしく生きろ。


この世になにが隠されていようが、お前の信じる道を俺は信じている。




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