この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
吼える月
第17章 船上2
「……くっ」
服越しとはいえ、敏感に膨張している部分を愛おしい女が触れているのは、サクにとっては眩暈がするほどの幸せだった。
服の上から触らせたのは、生々しい男の象徴を……正気が残るユウナに見せて衝撃を与えたくなかったからだった。最悪、凌辱の記憶が蘇ってしまう……その配慮からだった。
「サク……っ苦しいの?」
眉間に皺を寄せて苦悶の表情をするサクに、ユウナが唾を飲み込んだ後に掠れた声でそう尋ねれば、サクはうっとりとしたように目を開け、妖艶さを放ちながら微笑んだ。
「いいえ、気持ち……いいんです」
そして、僅かに黒髪を揺らして、ほぅっ……と、ため息のような熱い吐息を放った。
「姫様に、触られていると思えば……」
自分の手が導いているとはいえ、秘匿していた愛情の猛りに、ユウナは触れたのだ。
自分の身体と心にユウナが触れていると思えば、どこまでも甘美な恍惚感にサクは酔いしれていく。
拡がるサクの艶気。
隠そうともしない喘ぎ。
上下に動く喉仏。
どこまでも男だということを見せつけて。
その男がユウナに発情しているという事実を突きつけて。
魅入られたように見つめるユウナの鼓動が早くなる。
布一枚下の生き物のようにびくびく動く異物は、好意的には思えなかったけれど、それを触ればサクが美しく身悶えるから。
だから……サクの手が離れても、そこを愛でたくなる。
サクだと思えば、愛おしい心地になってくる。
まるで夢見心地――。
ゆっくり優しく、包むかのように。
サクを愛する手の動きは、ユウナの意志をもってなされた。