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吼える月
第17章 船上2
「ん……ああ、あああっ」
はしたなく拡げられていたあの足は、長い下衣の中に秘め隠され、宙を彷徨い不安定だった爪先はきちんと着地地点を感じているというのに。
それによって羞恥心は薄まるはずだったのに――。
「サク……っ、んん…ああ、ああん、ああああんっ」
まるで振り出しに戻りたいかのように腰が浮き、足が拡がる。
サクをもっと受け入れたいというように、淫らに腰をくねらせ……声を一段とあげてしまう。
繋がれたままの手。
ユウナが艶めかしく悶えれば悶えるほどに、サクの指はユウナの指を上からまさぐり愛撫する。
見ていなくても、ユウナのことならわかっているというように、
身を隠していても、自分はここにいると主張しているかのように、
「ああぁぁああっ、サク……、サク……ぅ…っ」
……ユウナの口から漏れる名前が、嬉しいと言っているかのように。
服地の下から響くのは、卑猥な水音。
興奮した雌の身体を、興奮した牡が貪る……淫らな音。
指で触られるのとは違う、視界から隠された口淫の感触が……ユウナにより切迫めいた背徳感をもたらし、腰から頭上に突き上げるかのように走る快感にただ喘いだ。
身体が感じる気持ちよさに、慣れぬ心がついていかない。
白い閃光がちかちかと点滅し始めたその世界で、ひとりきりでいるという不安感と寂寞感に、ユウナはひたすらサクの名前を呼んだ。
「サク、サク……っ、恐い……、サク、帰ってきて……っ、サク……っ」
まるで迷い子の叫びのように、艶を含んだその甘い声でサクをせがむその姿は、暗闇の中……我武者羅にユウナを愛していたサクの牡の部分を、さらに猛らせた。
「サク……っ、あたしが消えそうなの、サクも、サクも一緒に来てっ」
ユウナに……果てが近づいている――。
「サク……ぎゅっとしてぇぇ……っ」
サクの目が細められ、苦しげな呼吸が漏れた。