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甘く、深く、繋がって
第10章 戻れない日常
課長に金曜日の休みの件を謝りに行ったら、却って心配されてしまった。
「声擦れてるな。大丈夫なのか?」
「はい。熱はないので……」

擦れてるのは啼き過ぎたせい。
熱、なんて……初めからない。

「そうか?まぁ河合さんに休まれると正直痛いから、働いては欲しいんだが……暫らくは定時に上がって無理はしないように」
「ありがとうございます」
優しい言葉に胸が苦しい。
ギュッと手を握って頭を下げた。

デスクに戻ってパソコンに向かう。まずは、メールをチェック...


「河合さん」
肩を叩かれ、見上げると営業の新田さんと山下さんが立っていた。
「はい?」
「もう、お昼だよ」
懐こい新田さんの笑顔に吊られるように頬が緩む。時計を見ると確かに十二時を回ってる。
やる事多いと時間が経つのが早い。なのに全然進んでないし……

「飯、一緒に外行かない?」
「……あ、の……今日は、一人で食べます」
「えっそうなの?」
明らかにがっかりしたように頭を傾げられ
「うつしてしまうと申し訳ないので」
そう言ってマスク押さえて見せた。
「そうか、病み上がりか。まだ声も擦れてるな」
山下さんが言って、新田さんの肩を引く。
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