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甘く、深く、繋がって
第11章 夢の国、リベンジ
逃げるように上体を起こされたけど
「離れると寒いね」
その一言でまたもたれてくる。

ホント可愛い

ポケットの中で手の平側に手を滑らせ、指の間を指先でゆったりなぞると真純が小さく息を飲んだ。
ふるふると震え、吐き出された熱い息。立ち上がってくる甘い匂い。
腹の底が熱を持つ……

「花火、部屋から見ない?」
「……っ」
「ここ、寒い」
「…………」
手のひらと指をそっとなぞりながら耳元で囁くように誘う。
「少し遠くなるけど、今からチェックインしに行っても十分間に合うし……」
真純の頬が赤い。息も少し上がってる。
「良い?」
キュッと指を絡めると、小さく頷いてそのままマフラーに口元を埋めてしまった。

すげー可愛い。
花火、ゆっくり見れなかったらごめん。

心の中で勝手に謝って、俺はもたれていた建物から背中を起こした。
ギュツと後ろから抱き締めて
「行こうか?」
声を掛ける。今度はハッキリ頷かれた。真純のポケットから手を抜き、歩きやすいように繋ぎ直す。
そっと引き寄せると、濡れた瞳で俺を見上げて素直に着いてくる。
その目にゾクリと肌があわ立った。

……ゆっくりどころか、花火を見せてやれる気がしない

軽く空を仰ぎ、俺は気付かれないように小さく息を吐き出した。
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