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甘く、深く、繋がって
第12章 軋む心
珍しく、真純からメールの返信が来てなかった。
不思議に思いながら身支度を済ませ、佐伯さんに挨拶をして裏口から店を出た。
大通りに出て三つ先のオフィスビル。いくつか明るいフロアはあるけれど、真純のフロアが何処かは知らない。
時計は二十三時半を指している。
携帯を取り出し、少し迷って電話を掛けた。
繰り返す呼び出し音。直に留守電に切り替わる。
さすがにこんな時間に仕事はない、よな……
風呂に入ってるか、もう寝たか……
考えても仕方ない
携帯ごとコートのポケットへ手を突っ込んで、駅へ向かい足早に歩いた。
数メートル進んだ所で横から女が飛び出してきた。咄嗟に避けて、真純との出会いを思い出す。
でもその女は真純と違って転ぶ事なくこっちに振り向いた。嫌悪感を呼び覚ます甘ったるい匂い。
……また来やがった
「びっくりした?」
「……しない」
「なんだ。残念」
ニッコリ笑って乱れた前髪を掻き上げる。その仕草は女の色気満載で、きっとそうやって男を堕としてきたんだろう。
「じゃ」
切って捨てて駅へ向かう。
「ねぇ、待ってよ。一緒に帰ろう?」
「勝手に帰れよ」
「泊めてくれないの?」
「そんな義理ない」
不思議に思いながら身支度を済ませ、佐伯さんに挨拶をして裏口から店を出た。
大通りに出て三つ先のオフィスビル。いくつか明るいフロアはあるけれど、真純のフロアが何処かは知らない。
時計は二十三時半を指している。
携帯を取り出し、少し迷って電話を掛けた。
繰り返す呼び出し音。直に留守電に切り替わる。
さすがにこんな時間に仕事はない、よな……
風呂に入ってるか、もう寝たか……
考えても仕方ない
携帯ごとコートのポケットへ手を突っ込んで、駅へ向かい足早に歩いた。
数メートル進んだ所で横から女が飛び出してきた。咄嗟に避けて、真純との出会いを思い出す。
でもその女は真純と違って転ぶ事なくこっちに振り向いた。嫌悪感を呼び覚ます甘ったるい匂い。
……また来やがった
「びっくりした?」
「……しない」
「なんだ。残念」
ニッコリ笑って乱れた前髪を掻き上げる。その仕草は女の色気満載で、きっとそうやって男を堕としてきたんだろう。
「じゃ」
切って捨てて駅へ向かう。
「ねぇ、待ってよ。一緒に帰ろう?」
「勝手に帰れよ」
「泊めてくれないの?」
「そんな義理ない」