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甘く、深く、繋がって
第12章 軋む心
「えぇ、私達付き合ってるのに?」
みゆきの腕が絡んできた。むせ返りそうに甘い香り。これ見よがしに豊満な胸を押し付けられて、気分が悪くなった。
「離せ。お前と付き合った覚えはない」
「またぁ、折角追い掛けてきた彼女にそれはないんじゃない」
腕を解くどころか手も繋がれそうになって思い切り振りほどいた。
「いたぁい」
「俺に関わるな。警察突き出すぞ」
「ひどぉい、あんなに激しく愛し合ったのに」
上目遣いで睨まれて、数年前の自分に腹が立つ。
確かにみゆきとは一回だけヤッたことがある。その時だけで終わった関係。
名字も名乗らない女に彼女面される言われはない。

「何言ってんの?お前が一回だけって懇願するからヤっただけだろ?」
「うん、でもいっぱい愛してくれたでしょ?」
めんどくさくなって足を速めた。
「愛してない。セックスに愛なんか必要ない」

セックスに限らず、愛なんて必要ない。本気で思ってた。
簡単に壊れて崩れ去る、相手を裏切る。そんなモノ、要らない。

「愛、感じたよ」
また絡み付かれそうになって振り払う。
「幻想」
「幻なんかじゃない」
「それお前の妄想。俺、愛とか信じてないから」
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