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甘く、深く、繋がって
第13章 苦い惑い

真純の携帯が繋がらなくなって、本気で焦った。
マンションに行ってもインターホンに応答はない。眠れないまま夜を過ごし、朝になっても携帯は不通。まさか会社へ問い合わせる訳にはいかない。結システムの社員がランチに来たのに合わせ、呼び出してもやはり通じない。
とにかく心配で仕方なくて、気が狂いそうだった。
いつもはプライベートな感情に仕事が左右される事はない。でもさすがにフラットにするのは厳しくて、ディナーの時間に届いたメールに
「電話してこい」
佐伯さんに厨房から追い出された。
声を聞いてホッとして、泣いてる気配に胸が騒ついた。
『大丈夫です』
そう繰り返す真純が余計に気掛かりで、夜仕事帰りに家へ行く約束を取り付けた。
戻って早々、佐伯さんに言われた言葉。
「良かったなぁ、拓。姫ちゃんのお陰で人間らしくなったぞ」
その上桐生さんにまで
「少し落ち着きましたね」
と微笑まれる始末。余程取り乱して厨房を出たらしい。
この時俺は焦るあまり、みゆきの存在を失念していた。
だから、コートに香水の移り香が残っている事も、駅から真純のマンションまで彼女に後を付けられていた事にも気付いていなかった……
マンションに行ってもインターホンに応答はない。眠れないまま夜を過ごし、朝になっても携帯は不通。まさか会社へ問い合わせる訳にはいかない。結システムの社員がランチに来たのに合わせ、呼び出してもやはり通じない。
とにかく心配で仕方なくて、気が狂いそうだった。
いつもはプライベートな感情に仕事が左右される事はない。でもさすがにフラットにするのは厳しくて、ディナーの時間に届いたメールに
「電話してこい」
佐伯さんに厨房から追い出された。
声を聞いてホッとして、泣いてる気配に胸が騒ついた。
『大丈夫です』
そう繰り返す真純が余計に気掛かりで、夜仕事帰りに家へ行く約束を取り付けた。
戻って早々、佐伯さんに言われた言葉。
「良かったなぁ、拓。姫ちゃんのお陰で人間らしくなったぞ」
その上桐生さんにまで
「少し落ち着きましたね」
と微笑まれる始末。余程取り乱して厨房を出たらしい。
この時俺は焦るあまり、みゆきの存在を失念していた。
だから、コートに香水の移り香が残っている事も、駅から真純のマンションまで彼女に後を付けられていた事にも気付いていなかった……

