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甘く、深く、繋がって
第14章 疑心暗鬼
バックヤードって……あの部屋だよね?
そろりと見上げた先で、斎藤さんが佐伯さんに声を掛けているのが目に入る。
ど、どうしよう……
行く?
行かない?
「河合さん?」
また田中さんに声を掛けられて、反射的に立ち上がった。
「あ、あの、お手洗い行って来ます」
「一緒に行こうか?」
心配して立とうとしてくれた田中さんを笑顔で止めてメニューを指で指し示す。
「大、丈夫です。あの、これ、頼んでおいてもらっても良いですか?」
「どれ?……ウニのクリームパスタね、飲み物はどうする?」
メニューに視線を落とし、確認してくれる。
「あったかい紅茶をお願いします」
「分かった。もし何かあったら呼んでね」
「あ、はい……」
優しい笑顔に心苦しい。
……でも、行きたい
「お願いします」
小さく頭を下げて、私は奥へ足を進めた。
『プライベート』そう書かれた扉の前に立って、でもその先を躊躇する。
心臓がすごい事になっている。
深呼吸をしてどうにか気持ちを落ち着かせ、ノックしようと手を上げた時、ガチャッと扉が開いた。伸びてきた手に手首を捕まれる。声を上げる間もなく、強く中に引っ張り込まれてしまった。
そろりと見上げた先で、斎藤さんが佐伯さんに声を掛けているのが目に入る。
ど、どうしよう……
行く?
行かない?
「河合さん?」
また田中さんに声を掛けられて、反射的に立ち上がった。
「あ、あの、お手洗い行って来ます」
「一緒に行こうか?」
心配して立とうとしてくれた田中さんを笑顔で止めてメニューを指で指し示す。
「大、丈夫です。あの、これ、頼んでおいてもらっても良いですか?」
「どれ?……ウニのクリームパスタね、飲み物はどうする?」
メニューに視線を落とし、確認してくれる。
「あったかい紅茶をお願いします」
「分かった。もし何かあったら呼んでね」
「あ、はい……」
優しい笑顔に心苦しい。
……でも、行きたい
「お願いします」
小さく頭を下げて、私は奥へ足を進めた。
『プライベート』そう書かれた扉の前に立って、でもその先を躊躇する。
心臓がすごい事になっている。
深呼吸をしてどうにか気持ちを落ち着かせ、ノックしようと手を上げた時、ガチャッと扉が開いた。伸びてきた手に手首を捕まれる。声を上げる間もなく、強く中に引っ張り込まれてしまった。