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甘く、深く、繋がって
第14章 疑心暗鬼
斎藤さんが来るのは日付を回る。急がなくても大丈夫。でも少しは部屋を片付けたくて、やっぱり急ぎ目に仕事を終わらせた。
とはいえこの時期、仕事の量は半端ない。最寄駅に着いたのは夜の十時を過ぎていた。
暗い道はあまり好きじゃない。
夕食はおにぎりとカップスープだけ。息継ぎと夜食補給のために寄った、斎藤さんのマンション近くのコンビニ。デザートの棚に向かおうとして足が固まった。
この、匂い……
恐る恐る店内を見渡す。飲み物の並ぶ冷蔵の陳列棚の前に、後ろ姿。
何で、ここにいるの?
気付かれないよう踵を返す。そのまま入り口へ一直線に戻ろうとして
「あら、あなた」
後ろから彼女に声を掛けられた。
気付かないふりをして出ようとしてたのに
「待って」
わざわざ少し駆け足で寄って来て、細く長い指に腕を捉まれた。
「今夜、拓真の事よろしくね」
ニッコリ笑って言われた言葉。ギュッと胸が苦しくなる。
え?
何で、知ってるの?
朝、隣にいたの?
よろしくって……?
彼女の真意が分からない。
黙ったままの私に
「あら、あなたじゃなかった?私急に今夜の仕事頼まれちゃって……拓真から行くって連絡来たでしょ?」
不思議そうな顔をした彼女に首を傾げられた。
とはいえこの時期、仕事の量は半端ない。最寄駅に着いたのは夜の十時を過ぎていた。
暗い道はあまり好きじゃない。
夕食はおにぎりとカップスープだけ。息継ぎと夜食補給のために寄った、斎藤さんのマンション近くのコンビニ。デザートの棚に向かおうとして足が固まった。
この、匂い……
恐る恐る店内を見渡す。飲み物の並ぶ冷蔵の陳列棚の前に、後ろ姿。
何で、ここにいるの?
気付かれないよう踵を返す。そのまま入り口へ一直線に戻ろうとして
「あら、あなた」
後ろから彼女に声を掛けられた。
気付かないふりをして出ようとしてたのに
「待って」
わざわざ少し駆け足で寄って来て、細く長い指に腕を捉まれた。
「今夜、拓真の事よろしくね」
ニッコリ笑って言われた言葉。ギュッと胸が苦しくなる。
え?
何で、知ってるの?
朝、隣にいたの?
よろしくって……?
彼女の真意が分からない。
黙ったままの私に
「あら、あなたじゃなかった?私急に今夜の仕事頼まれちゃって……拓真から行くって連絡来たでしょ?」
不思議そうな顔をした彼女に首を傾げられた。