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甘く、深く、繋がって
第16章 過ぎ去らざる戒め
気付けば無意識にテーブルの上でマグカップを握り締めていた。一旦手を離して息を吐く。
一口一口時間をかけて味わって、ざらざらする気持ちを落ち着ける。

あの人は私を良く思っていない。斎藤さんの事もだけど、口にするのが真実とは限らない。
弁護士さんに啓太に誰か面会に来てないか、確認してもらおう。

…………

あんな事、もうされたくない。
あんな……身体を繋げるだけな日々。
思い出すのも嫌。

そう、思ってる。

……でも、壮ちゃんにはもちろん、はるちゃんにも言ってない事がある。
高校の時、彼氏がいた時期が二回ある。先輩と同級生、二人も途中でソウ、なった……
まだ高校生だったから、啓太程酷くならなかっただけ。逢って身体を重ねない日はなかった。

だから、思う。
啓太があんな風になってしまった要因は、私。私の身体に、ある……

キツく目を閉じ、また息を吐いた。

あの人は斎藤さんが私に執着していると言った。でも、違う。
斎藤さんのは執着じゃない。啓太達とは、似ても似つかない。
比にもならない。
時に激しくされるけど、大切に、大事にしてくれてるってちゃんと分かる。愛して、くれている……
彼らとは、違うもの

じわりとマグカップが滲んだ。

斎藤さんに、早く逢いたい……

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