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甘く、深く、繋がって
第16章 過ぎ去らざる戒め
深呼吸をして桐生さんに向き直る。
「あの、寒いのに……ありがとうございます。助かりました」
頭を下げた私を穏やかな笑顔で招いてくれる。
「大丈夫ですか?」
「はい」
桐生さんが少し眉を下げた。
「せっかく来て頂いたのですが、裏からご案内させて下さい」
……あの人が、いるから?
ズキンと胸が痛む。私の疑問は顔に出ていたらしい。並んで歩く桐生さんの眉根が寄る。
「申し訳ありません」
「そんな、謝らないで下さい。お気遣いいただいて、こちらこそスミマセン」
俯いた頭にぽんと乗ってきた暖かい手。
「大丈夫ですよ」
そのままそっと撫でられて
「タクはあなたしか見ていません」
優しい言葉。目頭が熱くなった。
「……っふ、ぅ……」
声を上げて泣いてしまいたい。我慢出来ずにタオルに顔を埋めた。そっと背中を押されてゆっくり奥へ誘導された。そこで桐生さんは私の嗚咽が落ち着くまで、黙って頭を撫でていてくれた。
裏口から入って案内されたのは、いつものバックヤード。
「お食事は済まされてますか?」
「いいえ」
「食べられそうですか?」
お腹は空いていた、けれど……
「あの、寒いのに……ありがとうございます。助かりました」
頭を下げた私を穏やかな笑顔で招いてくれる。
「大丈夫ですか?」
「はい」
桐生さんが少し眉を下げた。
「せっかく来て頂いたのですが、裏からご案内させて下さい」
……あの人が、いるから?
ズキンと胸が痛む。私の疑問は顔に出ていたらしい。並んで歩く桐生さんの眉根が寄る。
「申し訳ありません」
「そんな、謝らないで下さい。お気遣いいただいて、こちらこそスミマセン」
俯いた頭にぽんと乗ってきた暖かい手。
「大丈夫ですよ」
そのままそっと撫でられて
「タクはあなたしか見ていません」
優しい言葉。目頭が熱くなった。
「……っふ、ぅ……」
声を上げて泣いてしまいたい。我慢出来ずにタオルに顔を埋めた。そっと背中を押されてゆっくり奥へ誘導された。そこで桐生さんは私の嗚咽が落ち着くまで、黙って頭を撫でていてくれた。
裏口から入って案内されたのは、いつものバックヤード。
「お食事は済まされてますか?」
「いいえ」
「食べられそうですか?」
お腹は空いていた、けれど……