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甘く、深く、繋がって
第16章 過ぎ去らざる戒め
私と桐生さんとを交互に見やり、畠山さんが小さく息を吐く。
「分かった」
変わらない心配そうな眼差し。気まずい気持ちを悟られないように俯いた。足元を確認する振りをしながらゆっくりと立ち上がる。手元を見つめ
「あの、タオルありがとうございました。ちゃんと洗ってお返しします」
告げた私に、畠山さんが首を振る。
「あぁ良いよ。旅館の貰い物だし」
そして
「それより……怖がらせてごめんな」
申し訳なさそうに眉を下げられた。
チリリと心が痛む。確かに怖かったけど、泣いたのはそのせいじゃない。
「大丈夫、です。心配して声を掛けて下さったのに、私の方こそすみませんでした」
「いや、俺がもっと気を遣うべきだった……」
お互いに謝り合って言葉が止まる。
桐生さんがそっと私の手から荷物を取ってくれた。畠山さんは不思議そうにその荷物を見て、物問いたそうな瞳で私を見たけれど
「明日はちゃんと休めよ?」
それ以上の事は言わず、ようやく淡い笑顔を見せてくれた。
「はい。ありがとうございます」
「ん、じゃあお疲れ」
「お疲れさまでした」
頭を下げた私に軽く手を挙げ、畠山さんが戻っていく。改めて一礼して走り去る車を見送った。
「分かった」
変わらない心配そうな眼差し。気まずい気持ちを悟られないように俯いた。足元を確認する振りをしながらゆっくりと立ち上がる。手元を見つめ
「あの、タオルありがとうございました。ちゃんと洗ってお返しします」
告げた私に、畠山さんが首を振る。
「あぁ良いよ。旅館の貰い物だし」
そして
「それより……怖がらせてごめんな」
申し訳なさそうに眉を下げられた。
チリリと心が痛む。確かに怖かったけど、泣いたのはそのせいじゃない。
「大丈夫、です。心配して声を掛けて下さったのに、私の方こそすみませんでした」
「いや、俺がもっと気を遣うべきだった……」
お互いに謝り合って言葉が止まる。
桐生さんがそっと私の手から荷物を取ってくれた。畠山さんは不思議そうにその荷物を見て、物問いたそうな瞳で私を見たけれど
「明日はちゃんと休めよ?」
それ以上の事は言わず、ようやく淡い笑顔を見せてくれた。
「はい。ありがとうございます」
「ん、じゃあお疲れ」
「お疲れさまでした」
頭を下げた私に軽く手を挙げ、畠山さんが戻っていく。改めて一礼して走り去る車を見送った。