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甘く、深く、繋がって
第4章 水族館
薄暗い館内に水槽が蒼く輝いている。
まだ時間が早いせいか日曜日にも関わらずそんなに混雑していない。お陰でひとつひとつの水槽をゆっくり見ていられるのだけど……
立ち止まる度に斎藤さんは寄り添うように私の後ろから水槽を覗き込む。ごく自然に腰に手が回されて、前屈みになった身体が肩に触れる。
ドキドキするの、私だけ?
「あ、出てきた」
耳に掛かる息に身体がピクンと反応してしまう。クマノミがいそぎんちゃくの中から慌ただしく頭を覗かせて、翻っていく姿を目で追っているだけ、なのに……
「しょ、小学生の頃、カクレクマノミが主人公のアニメがありましたよね?」
気持ちを逸らしたくて話し掛けた。
「そうだね」
「斎藤さん、観ました?」
「うーん……観てない」
少し困った風な物言い。
どうしよう。微妙な空気になっちゃった。
「何かねぇ、擬人化っていうの?苦手なんだ」
ふっと笑ってくれたお陰で、空気が少し和む。
「そ、そうなんですか?」
「うん。気持ち悪い」
「気持ち悪い?」
私にはない感想に、おうむ返しに聞き返して斎藤さんを振り仰いだ。
まだ時間が早いせいか日曜日にも関わらずそんなに混雑していない。お陰でひとつひとつの水槽をゆっくり見ていられるのだけど……
立ち止まる度に斎藤さんは寄り添うように私の後ろから水槽を覗き込む。ごく自然に腰に手が回されて、前屈みになった身体が肩に触れる。
ドキドキするの、私だけ?
「あ、出てきた」
耳に掛かる息に身体がピクンと反応してしまう。クマノミがいそぎんちゃくの中から慌ただしく頭を覗かせて、翻っていく姿を目で追っているだけ、なのに……
「しょ、小学生の頃、カクレクマノミが主人公のアニメがありましたよね?」
気持ちを逸らしたくて話し掛けた。
「そうだね」
「斎藤さん、観ました?」
「うーん……観てない」
少し困った風な物言い。
どうしよう。微妙な空気になっちゃった。
「何かねぇ、擬人化っていうの?苦手なんだ」
ふっと笑ってくれたお陰で、空気が少し和む。
「そ、そうなんですか?」
「うん。気持ち悪い」
「気持ち悪い?」
私にはない感想に、おうむ返しに聞き返して斎藤さんを振り仰いだ。