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甘く、深く、繋がって
第22章 冬休み
「おぉ、こえー」
大袈裟に肩を竦め、兄貴がクツクツと笑い出した。
「笑い事じゃない。最後までヤるつもりはなかったとか、そんな勝手な言い訳は彼女には関係ない。これ以上傷付けたら本気で許さないからな」
睨み付けて言い返すと、兄貴はすぐにその笑みを納めた。
「あぁ、悪かったと思ってる」
「なら触んなよ」
「触らない」
「ちゃんと謝れ」
「謝るよ」
真面目に同意する兄貴を胡散臭いと思うのは穿(うが)ちすぎか?
「悪かった。もう触んないし、彼女にも謝る。そんなに睨むなよ」
「……」
「これでもお前に『彼女』が出来て良かったと思ってんだけど?」
困ったように眉が下がる。
「……分かった。明日から他所に泊まる。一緒にいなけりゃ余計な心配もないだろ?」
少し寂しげにも見える苦笑い。

俺は何を心配してるんだろう……

真純の事となると短絡的で余裕がなくなる。大人げない態度を反省しつつ、目蓋を落とした。
「いや、いい。兄貴の家だし。俺が感情的になり過ぎた」
息を吐いて改めて兄貴を見る。
「今さらだけど……彼女泊めるから」
「ふっ。どうぞ」
口元を綻ばせた兄貴は思いの外優しい目で俺を見ていた。
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