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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
「なぁにぃ、独り占め?」
不愉快だと全身で示しながらシンシアが近づいてくる。真純を強く抱き締めた所に
「シンディ、タイキと交代」
佐伯さんに声を掛けられた。
「……OK」
表向きは穏やかに応え、シンシアが俺を一睨みして厨房へ戻って行く。
しばらくホールには戻って来ないだろう。

助かった。

桐生さんが水を取りに行ってくれて、俺は真純を中央から少し外れたテーブルに腰かけるように促した。
話したい事は別にある。でも真純の気持ちが揺れているのは明らかで。シンシアの話を先に済ませる事にした。

「それが心配でシンシアさんに『関わるな』っておっしゃってたんですか?」
一通り聞いた後に尋ねてくる瞳は真っ直ぐ俺を見上げてる。
「……それも、ある」
けど、それだけじゃ、ない。
妬きもちを妬いた、とは言いにくくて視線を店内に逸らした。桐生さんがトレンチ片手に戻ってきている。
「シンシアが真純抱き締めてるの見て、マズイと思ったんだ」
「マズイ、ですか?」
見ていなくても真純が首を傾げたのが分かった。近付いて来た桐生さんの目が笑ってる。
耳が良いのか、感が鋭いのか……
どっちもだろう。
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