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第23章 長い一日

「どうしたの？」
問い掛けても
「は、恥ずかしくて」
案の定打ち明けてはもらえない。擦り寄ってくる真純の背中に腕を回した。
もどかしく思えど、隠そうとしているモノをわざわざ桐生さんの前で言わせる必要もない。
柔らかな髪に口元を埋め、包み込むように抱き締める。真純の腕が背中に回されて、返す様にギュッと抱きついてきた。ゆっくりと深呼吸をした真純。小さくつぶやかれた言葉が聞き取れなくて
「ん？」
促した俺に、真純は何も応えずしがみついてきた。押し当てられる柔らかな丸みから伝わるのは、変わらず少し早い心臓の拍動。

……可愛い過ぎ

堪えきれずに頭のてっぺんに口づけた。
「なーに？ここで始めてくれるの？」
横から突っ込んできたのは意味深に笑うシンシアで。うんざりする。
不本意ながら頭を起こして
「な訳ないだろ。俺の」
誰がお前なんかに真純を見せるか。
「ケチ」
「当たり前だろ」
頭を起こそうとした真純の動きを阻んだ。
「それ以上近寄んな」
片手でしっしっと追い払うとシンシアの目が吊り上る。
「話すぐらい良いでしょ？」
「何、言ってんの。却下」
また始まった子供の喧嘩。