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甘く、深く、繋がって
第6章 夢の国
慌てて頭を起こそうとして、その手にやんわりと阻まれた。
「良いよ。このままで」
「あ、の……でも」
「良ーの。顔色悪いよ?無理しないで一旦抜けよう?これ、落ちるし」
周囲の目とジクジク疼く身体。どっちも気になる私は言われるままに頷いた。

斎藤さんは優しい。
なのに私、あんな事……

後ろめたくて胸が苦しい。はぁと思わず息を吐いたら
「暴れないでね」
柔らかに前置きされてヒョイと抱き上げられた。いわゆるお姫様抱っこ。
「えっ?あっ?」
「シーッ」
頭の上に口を寄せ、私を制して
「スミマセン、下がります」
回りの方に謝りながら斎藤さんは今まで並んできた道を戻り始めた。
そうなると下ろしてもらおうと我を張るのも何だか悪くて。私はなるべく小さく身体をたたんで、斎藤さんの胸に頭を預けた。恥ずかしくて目を開けられない。

しばらくそうやって揺られていたら何となく目蓋の裏が明るくなった。どうやら外に出たみたい。
そうっと目を開け、ノスタルジックな客船が目に入った。
「さ、斎藤さん」
「んー?」
「も、ダイジョウブです」
「うん、良かった」
私を見下ろしニコリと笑って、でも歩みを止める様子はない。
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