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甘く、深く、繋がって
第6章 夢の国
「お、下ろして下さい」
「え?何で?」
真顔な拓真さんに聞き返され、私の方が驚いた。
「な、何でって……だって私、歩け、ます」
「……ぁ、あぁ、そう」
「はい」
「……」
何故か黙り込まれてしまった。
「じゃあさっき通り過ぎたレストランまで、ね」
斎藤さんの示すお店は間違ってなければデリカテッセン。そこまではちょっと距離がある。
「えっ、でもっ」
「ほら、しっかり掴まって」
ヒョイと軽く抱き直され、慌てて斎藤さんの首に腕を絡めた。周囲の目は恥ずかしいけど、引っ付いて居られる事は素直に嬉しい。
目の前には、見惚れる程のシンメトリー。
密着する男らしい身体。
……淫らな欲が疼きだす。

ぅう、本当にどうしたんだろう。
今までこんな風に感じたことも、考えた事もないのに……
斎藤さんと触れている身体が熱い。

「……辛い?」

えっ?

聞かれて自分が口で息をしている事に気付いた。
恥ずかしくて顔が熱くなる。
「帰ろ?」
「まっまだ来たばかりですよ?」
「んー、体調良い時にまた来ようよ。俺も、限界」

そうだった。
拓真さん、来て早々に結構過剰な歓迎受けてましたよね。
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