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甘く、深く、繋がって
第29章 ・・・のために
黒田さんの前まで行ってクルリと振り返る。まっすぐ私を見る瞳。
「拓真の事傷付けたら承知しないから」
……っ!
「っはい」
「さよなら」
私の応えに少しだけ口角が上がった様に見えたけど、確かめる間もなく背を向けられた。
「行こう、公(きみ)にぃ」
黒田さんの腕を取り、歩いていく。
身体を捻るようにして振り返った黒田さんに頭を下げられた。その隣でお母さんも深く頭を下げて離れてく。
一人残ったクラウチさんがみゆきさんたちの方から私たちの方へ、ゆっくりと向き直った。
「ますみさん、娘と話してくれてありがとう」
眉の下がった穏やかな微笑み。
「お陰でみゆきも前に進めるだろう」
そう言って姿勢を正す。
前に、進める?
「色々申し訳なかった。ありがとう」
丁寧に頭を下げられて、急いでお辞儀を返した。
一度頭を上げたクラウチさんはもう一度軽く頭を下げて私たちに背を向けた。
……みゆきさんはずっと拓真さんの事好きだった、のかな……
もう大分離れた先にいる彼女の後ろ姿を目で追っていると横から拓真さんに手を引っ張られた。そのまま腕の中に閉じ込められて
「ごめん真純」
キツくなった戒め。
「……ありがとう」
頭の上から拓真さんの声が降ってきた。
「拓真の事傷付けたら承知しないから」
……っ!
「っはい」
「さよなら」
私の応えに少しだけ口角が上がった様に見えたけど、確かめる間もなく背を向けられた。
「行こう、公(きみ)にぃ」
黒田さんの腕を取り、歩いていく。
身体を捻るようにして振り返った黒田さんに頭を下げられた。その隣でお母さんも深く頭を下げて離れてく。
一人残ったクラウチさんがみゆきさんたちの方から私たちの方へ、ゆっくりと向き直った。
「ますみさん、娘と話してくれてありがとう」
眉の下がった穏やかな微笑み。
「お陰でみゆきも前に進めるだろう」
そう言って姿勢を正す。
前に、進める?
「色々申し訳なかった。ありがとう」
丁寧に頭を下げられて、急いでお辞儀を返した。
一度頭を上げたクラウチさんはもう一度軽く頭を下げて私たちに背を向けた。
……みゆきさんはずっと拓真さんの事好きだった、のかな……
もう大分離れた先にいる彼女の後ろ姿を目で追っていると横から拓真さんに手を引っ張られた。そのまま腕の中に閉じ込められて
「ごめん真純」
キツくなった戒め。
「……ありがとう」
頭の上から拓真さんの声が降ってきた。