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甘く、深く、繋がって
第29章 ・・・のために
「こころぉ?そんなの保証になる訳ないじゃない」
「みゆき!」
「お父さんは黙ってて!」
クラウチさんの腕を振り払い、みゆきさんが私に向き直る。その頬に浮かぶのは歪んだままの微笑み。
「見ることが出来ない心でどうやって保証するって言うのよ」
私の手を握る拓真さんの手に力が入った。その手を握り返し、みゆきさんの目を真っ直ぐに見詰め返す。
「私はそうなった時の虚しさや苦しみを知ってます」

相手を信じられなくなる孤独感も、逃れられない絶望感も……

「もう、二度とあんな闇に堕ちたくないし、拓真さんを堕としたくもありません」
「……」
黙り込んだみゆきさんが眉を深く寄せた。
「だから、同じ過ちは決して繰り返しません」
繰り返した私をギリッと睨みつけてくる。でも直ぐに逸らされて。
「……そう」
とだけ言ってみゆきさんが口を閉ざした。
背けられた横顔はどこか泣きそうにも見えて。
「み」
「せいぜい気を付けて」
呼び掛けようとした私を遮るように吐き捨て、みゆきさんが踵を返した。
「心配しなくても、今日地元に帰るし。もう上京してくる事もないから」
そう言いながら黒田さんの方へ歩み寄る。
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