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五十嵐さくらの憂鬱。
第9章 …9
「あんた、バカじゃないの?
そんな事言ったら、あたしだって、佳代だって
樹の女よ。
たかだか俺のって言われて
ちょっと抱かれたからって彼女でもなんでもなくてセフレよ」
「せ…せふ…えぇっ!?」
「あたし、樹のこと好きなの。
今は身体だけの関係だけど、いつか絶対彼氏にするわ。
だから、あんた目障りなんだけど」
下唇をかみしめたまま
さくらは動けなくなった。
「あんたのせいで、最近樹があたしを抱いてくれないの。
いい加減にしてよ、セフレなんて、なんの権利もないでしょ?」
「ちょっと真綾。言い過ぎ」
いいのよ、と真綾と呼ばれた派手な女の子は
さらに眉間のシワを寄せる。
「…でも…」
そうつぶやきつつ、さくらは自信を失う。
俺の女と言ってくれたから、
てっきり彼女だと思っていた。
セフレとはあんなに抱きしめたり
愛おしそうに見つめてくれたり
優しくするものなのだろうか。
さくらには、わからない。
「でも、じゃないわよ。
じゃああんた、さくらだっけ?
あんたは、樹からつきあってくれって言われたの?」
完全に、さくらの負けだった。
「い、言われてません…」
「樹につきあってって言ったの?」
沈黙が否定を表した。
「言ってないんでしょ?
あたしは彼女にしてって言ってあるし
樹からちゃんと回答をもらってあるのよ」
「でも…」
「でも、なによ」
腑に落ちない。
しかし、でも、の後が続かない。
「とにかく、樹に手を出さないで」
そう言うと、真綾と佳代は去って行く。
井戸の底よりも暗い気持ちになったさくらは
とりあえず自分のボロいアパートへと向かって
家に着いた瞬間、
玄関で泣き崩れた。
そんな事言ったら、あたしだって、佳代だって
樹の女よ。
たかだか俺のって言われて
ちょっと抱かれたからって彼女でもなんでもなくてセフレよ」
「せ…せふ…えぇっ!?」
「あたし、樹のこと好きなの。
今は身体だけの関係だけど、いつか絶対彼氏にするわ。
だから、あんた目障りなんだけど」
下唇をかみしめたまま
さくらは動けなくなった。
「あんたのせいで、最近樹があたしを抱いてくれないの。
いい加減にしてよ、セフレなんて、なんの権利もないでしょ?」
「ちょっと真綾。言い過ぎ」
いいのよ、と真綾と呼ばれた派手な女の子は
さらに眉間のシワを寄せる。
「…でも…」
そうつぶやきつつ、さくらは自信を失う。
俺の女と言ってくれたから、
てっきり彼女だと思っていた。
セフレとはあんなに抱きしめたり
愛おしそうに見つめてくれたり
優しくするものなのだろうか。
さくらには、わからない。
「でも、じゃないわよ。
じゃああんた、さくらだっけ?
あんたは、樹からつきあってくれって言われたの?」
完全に、さくらの負けだった。
「い、言われてません…」
「樹につきあってって言ったの?」
沈黙が否定を表した。
「言ってないんでしょ?
あたしは彼女にしてって言ってあるし
樹からちゃんと回答をもらってあるのよ」
「でも…」
「でも、なによ」
腑に落ちない。
しかし、でも、の後が続かない。
「とにかく、樹に手を出さないで」
そう言うと、真綾と佳代は去って行く。
井戸の底よりも暗い気持ちになったさくらは
とりあえず自分のボロいアパートへと向かって
家に着いた瞬間、
玄関で泣き崩れた。