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五十嵐さくらの憂鬱。
第14章 …14
小春がさくらから教わった修のアドレスに
非礼を詫びるという名目の下心ありあり状態で
速攻で連絡をとってから
連絡が来ないまま
3日後に修を見かけた。
「あ、小春ちゃーん!」
気まずくて隠れようとする小春を見つけて
手をバカみたいにブンブン振ったのは夏月だった。
小春は逃げられず、慌てて笑顔を作った。
ーーーやば、3人揃ってるわーーー
夏月、修にさらに樹まで揃っている。
最悪だ、と小春は心の中でつぶやく。
つぶやいているうちにあっという間に夏月に引っ張られ
気づけば3人に囲まれていた。
小春の空気を全く読まずマシンガントークする夏月。
ああ、さくらのね。という顔の樹。
手元の本に集中して全く動かない修。
小春は参った。
「ど、どうも…」
珍しくしどろもどろになる自分がおかしくて
小春はさらにパニックになった。
「小春ちゃん、そいえば最近さくらちゃん、愚痴とか言ってない!?
樹がうるさいとか、樹が変態だとか、樹に好かれすぎて困るとか!」
「うるさいな」
樹はむっとした顔をする。
それに夏月がぎゃんぎゃん噛みつきトークをしている。
小春が困って修を見ると
さっきから全く変わらない体制で本を読んでいる。
2人のことなどおかまいなし。
修の周りだけとても穏やかで心地よい空気が流れている気がした。
「……なに、読んでいるんですか?」
「羅生門。何回読み返しても面白い」
修から返答があったので小春は驚いた。
すると、修が顔を上げてメガネをカチリと直す。
「…君か。何の用事?」
「特に用事はないんですけど、夏月先輩に連行されまして…」
修は興味なさそうにふーんとうなづくと
またもや手元の本に視線を戻す。
「羅生門…あたしは、あの老婆がかわいそうって思うけど、反面、自業自得かなって」
「そうだな。下人の心変わりが、なんとも不気味で後味が悪い」
「一瞬にして、善人が悪に陥る狂気っていうか…。人間の本性を暴こうとしてる感じですよね」
「人間のというよりかは、生命の、だな。
死ぬか生きるかを選ばなければいけない時、
そこに人間の倫理は通用しない」
2人の会話に気づいた夏月と樹は
驚きすぎて声を失った。
「樹…修が、コミュニケーションとれてる」
「ああ。しかも、女子と」
さらに議論を展開させる修と小春に
2人は開いた口がとじなかった。
非礼を詫びるという名目の下心ありあり状態で
速攻で連絡をとってから
連絡が来ないまま
3日後に修を見かけた。
「あ、小春ちゃーん!」
気まずくて隠れようとする小春を見つけて
手をバカみたいにブンブン振ったのは夏月だった。
小春は逃げられず、慌てて笑顔を作った。
ーーーやば、3人揃ってるわーーー
夏月、修にさらに樹まで揃っている。
最悪だ、と小春は心の中でつぶやく。
つぶやいているうちにあっという間に夏月に引っ張られ
気づけば3人に囲まれていた。
小春の空気を全く読まずマシンガントークする夏月。
ああ、さくらのね。という顔の樹。
手元の本に集中して全く動かない修。
小春は参った。
「ど、どうも…」
珍しくしどろもどろになる自分がおかしくて
小春はさらにパニックになった。
「小春ちゃん、そいえば最近さくらちゃん、愚痴とか言ってない!?
樹がうるさいとか、樹が変態だとか、樹に好かれすぎて困るとか!」
「うるさいな」
樹はむっとした顔をする。
それに夏月がぎゃんぎゃん噛みつきトークをしている。
小春が困って修を見ると
さっきから全く変わらない体制で本を読んでいる。
2人のことなどおかまいなし。
修の周りだけとても穏やかで心地よい空気が流れている気がした。
「……なに、読んでいるんですか?」
「羅生門。何回読み返しても面白い」
修から返答があったので小春は驚いた。
すると、修が顔を上げてメガネをカチリと直す。
「…君か。何の用事?」
「特に用事はないんですけど、夏月先輩に連行されまして…」
修は興味なさそうにふーんとうなづくと
またもや手元の本に視線を戻す。
「羅生門…あたしは、あの老婆がかわいそうって思うけど、反面、自業自得かなって」
「そうだな。下人の心変わりが、なんとも不気味で後味が悪い」
「一瞬にして、善人が悪に陥る狂気っていうか…。人間の本性を暴こうとしてる感じですよね」
「人間のというよりかは、生命の、だな。
死ぬか生きるかを選ばなければいけない時、
そこに人間の倫理は通用しない」
2人の会話に気づいた夏月と樹は
驚きすぎて声を失った。
「樹…修が、コミュニケーションとれてる」
「ああ。しかも、女子と」
さらに議論を展開させる修と小春に
2人は開いた口がとじなかった。