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五十嵐さくらの憂鬱。
第14章 …14
「後で連絡する」

修がメガネの奥から見つめてきて
さくらは恐怖というよりかは
憂鬱な気分になった。

修から連絡が来たのは
その日の夕方だった。

「やあ、呼び出してごめん」

バス停に着くと、修が読んでいた本を閉じた。
さくらはう、と息を飲み込んだ。

「行こう」

そんなさくらをよそに
すたすたと修は歩き出す。
連れて行かれたのは、樹と行くカフェだ。

寡黙なマスターは、2人を見ると軽く会釈をし
奥の席へと目配せする。
修も慣れた足取りで奥へと向かった。
適当に頼むね、と修はマスターに話しかけ
それにマスターが首を縦に振った。

「ここ、樹とよく来るだろ?」

それにさくらがうなづくと
俺もだよ、と修がつぶやいた。

なんとも間の取り方が難しい人間だとさくらは思う。
何を考えているのか
さっぱりわからない。

しばらくすると、コーヒーの良い香りがしてきて
沈黙のまま飲み物を待つ。

修に出されたのは、びっくりするほど香りの良いエスプレッソ。
さくらには、いつもと同じにたっぷりとクリームが乗ったココアが出される。

「まぁ、飲みながら話そう」
「はい…」

緊張のあまり、さくらはココアに口をつけて
1秒もしないうちに火傷をした。

「大丈夫?」

修が慌ててさくらの隣に来て
熱いカップをさくらから取り上げた。

「水頼もうか」
「大丈夫です…」
「…ついてる…」

修の最後の言葉の意味が分からず
さくらが首をかしげると、
指が伸びてきて唇の上を触る。

「ほら、クリームついてる」

修は指についたクリームを舐めた。
小春が見たら鼻血まみれで卒倒しそうなシチュエーションだ。
さくらは小春に申し訳なくて仕方がなかった。

「…君に、興味があるんだ」

修の切り出しに
さくらは痛む舌のズキズキに耐えながら
修を見つめた。

「…樹が惚れ込むなんて、興味もたない方がおかしい」

さくらは言葉を失った。

「何が、そんなにいいのか、知りたい」
「樹先輩に聞いたらいいじゃないですか…?」

そうなんだけど、と修は少し困った顔をする。

「あいつ、なかなか口が固くて」
「手っ取り早く私に聞いちゃおうと…?」

いや、と修はメガネを直す。

「聞いたって、自分のどこが好かれてるかなんて
分かんないだろ?」

確かめた方が早い。
そうつぶやくと、静かにさくらの唇を奪った。
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