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五十嵐さくらの憂鬱。
第19章 …19
駆け寄ってきた小春が
さくらを抱きしめたのは
あの嫌な事件から2日経ってからだった。

さくら、小春、修と樹は
いつもの静かなカフェで待ち合わせた。

「よかった、さくら…心配した…!」

さくらはその小春の背中をポンポンと
優しく撫でた。

「あの時、はるちゃんが居たから…」

助かったのだ。
小春は事態の危険性を素早く察知して
すぐさま真綾に問い詰めた。
シラを切る彼女の口を割らせたのは
修の功績だ。

その後すぐに樹に連絡した所
慌てて樹は出てきた。
そのあまりにも動揺した様子を
小春は忘れられない。

さくらもそうだが、樹も
こんなにもお互いを想いあっているのに、と
小春は思った。

樹が取り出した携帯は
さくらと繋がっていた。
そこから騒がしい声が聞こえてくる。

「どこにいるんだ、さくらは…」
「これは…カラオケ?」

登場した樹の
あまりにも恐ろしい怒りを向けられた真綾は
縮み上がった。

問い詰めて聞き出すまでもなく
真綾は半べそになりながら
話し始めた。

「樹、落ち着け」

一緒にいるだけでも怖いと思えるほどの
怒りをまとい始めた樹に
修が冷静に肩を掴んだ。

「場所を特定して、とにかく探そう」

それに樹はうなづき
真綾に放つとどめの一言に
彼女は泣き出した。

「タダで済むと思うなよ」

そう言い残して
2人は近場のカラオケ屋を検索して
近い所から乗り込んだ。
小春は電話をかけて探した。

なかなか見つからないと
焦り始めた時に
電話に出たのは翔平だった。

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