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五十嵐さくらの憂鬱。
第3章 …3
「あの、もしもし…?」
『俺だよ』

ニヤリと笑う顔が目に浮かぶような
樹らしい回答に、さくらはほんの少し
緊張がやわらいだ。

「あの…いろいろとありがとうございます」
『いいんだよ、別に』
「でも…お礼、したいし」

それに一拍おいて、樹の声が帰ってきた。

『今日の授業は?』
「2限から、4限まであります」
『4限が終わったら君の部室で待っているよ。
かならず来て。その時、ほしいお礼を伝えるよ』

さくらにはい、と言わせてから
樹は電話を切った。

「…なに、言いなりになってるんだ、私…」

そう、1人ごちながらも、
結局、授業中でも意識が逸れて
ふわふわした現実味のない半日になってしまった。

放課後。
4限が終われば、今日はバイトがないため
いつもだったら部活に意気揚々と向かう日だ。
今日は、違う。
心臓がばくばくしていた。

お酒に酔った勢いで、自分がどうなったのか
全く覚えていない。
何回も助けてもらって
まだ、なんのお礼もしていない。

ーーーしこたま、お礼しておいた方がいいよ
ーーー元ヤンで、ちょう怖いって

小春の声が耳元で聞こえるかのようだ。
しかし、さくらの知る樹は
いつも助けてくれるし、
他の男の子とは比べものにならないくらい優しい。

「…でもどうしよう、ブランドの時計とか、要求されたら…」

心臓の音がうるさすぎて
周りの音が聞こえないんじゃないかと思いながら
静かな部室に入った。

「こんにちはー…」

鍵があいているということは
人がいるという証拠。
さくらは辺りを見回した。

大きな窓から、外からの光を差し込む。
白壁で、無機質で、油絵のにおいが染み込む部屋。
その部屋の隅っにある、大きな赤いソファで
樹は仰向けでスヤスヤ寝ていた。

「…樹先輩?」


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