この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
五十嵐さくらの憂鬱。
第6章 …6
夏月の声に驚いたのは樹だった。
「いや、そういうわけじゃ…」
「嘘だ。最近はいつも、あの子のこと見てる。
ジミーず漁りが始まる前くらいからずっとだよ。
俺が気づかないとでも思ってるの?」
樹は感服しました、と肩をすくめた。
「確かに、樹の好みドンピシャだけど…
ドンピシャすぎて手が出せないでいるでしょ?」
そこまで気づいていたか。
樹は夏月にお手上げと、つぶやく。
「しかも、接点がない、って感じだね。
手が出せないから、余計にイラついて
手当たり次第にちょっかい出してない?」
「……」
「あんまり派手にやると、反感買うよ?」
「気をつけるよ」
夏月は明るい髪の毛をくしゃくしゃしながら
大きくあくびをした。
「ま、頑張ってね、樹」
夏月はニコニコしながら
樹を見やる。
樹は気まずくて手に顎を乗せたまま
ぶすっと違う方に視線をそらした。
その日のことだ。
手当たり次第の1人、
地味な美術部の幽霊部員の副部長を
堪能しようとしたのは。
名前さえ分からず、
ただ見るだけの女の子。
手が出せずイライラし
手当たり次第に漁っては
ストレスのはけ口にと
みんな割と乱暴に抱いていた。
副部長も地味な見た目にそぐわず物好きで
すんなりと樹を受け入れ
過度な言葉責めに
自ら進んで腰を揺らした。
その副部長と、3回目だっただろうか。
部室でやろうとしたところに
あの女の子が現れたのだ。
驚きと、確信。
逃げる女の子のイヤリングが落ちたのが
まるでシンデレラの様だった。
副部長との逢瀬を早々に切り上げ尋問し
名前とある程度のスペックを入手し
ご満悦の樹は
イヤリングを持って、翌日待ち伏せをした。
ーーー獲物は、まんまとひっかかった。
しかし、予想以上に
五十嵐さくらは憂鬱だった。
樹の予想以上に、樹を悩ませた。
樹に焦らされ火照る正直な身体は
今までの女以上に感度が良く濡れやすく
樹の脳内を揺さぶった。
それ以上にさくらの心は頑なで
大好きな彼氏への罪悪感は
快楽をもってしても抜けない。
今までと同様に、一思いに犯してしまえばいいのに
それもできずに
樹の方が焦らされた。
さくらのいじらしい反応に
溺れたのは、樹の方。
すぶずぶと、
深い水底に落ちる様に
さくらの憂鬱な瞳と
美しくはかなげな身体に
悩まされたのは樹の方。
おそらく、もう戻れない。
「いや、そういうわけじゃ…」
「嘘だ。最近はいつも、あの子のこと見てる。
ジミーず漁りが始まる前くらいからずっとだよ。
俺が気づかないとでも思ってるの?」
樹は感服しました、と肩をすくめた。
「確かに、樹の好みドンピシャだけど…
ドンピシャすぎて手が出せないでいるでしょ?」
そこまで気づいていたか。
樹は夏月にお手上げと、つぶやく。
「しかも、接点がない、って感じだね。
手が出せないから、余計にイラついて
手当たり次第にちょっかい出してない?」
「……」
「あんまり派手にやると、反感買うよ?」
「気をつけるよ」
夏月は明るい髪の毛をくしゃくしゃしながら
大きくあくびをした。
「ま、頑張ってね、樹」
夏月はニコニコしながら
樹を見やる。
樹は気まずくて手に顎を乗せたまま
ぶすっと違う方に視線をそらした。
その日のことだ。
手当たり次第の1人、
地味な美術部の幽霊部員の副部長を
堪能しようとしたのは。
名前さえ分からず、
ただ見るだけの女の子。
手が出せずイライラし
手当たり次第に漁っては
ストレスのはけ口にと
みんな割と乱暴に抱いていた。
副部長も地味な見た目にそぐわず物好きで
すんなりと樹を受け入れ
過度な言葉責めに
自ら進んで腰を揺らした。
その副部長と、3回目だっただろうか。
部室でやろうとしたところに
あの女の子が現れたのだ。
驚きと、確信。
逃げる女の子のイヤリングが落ちたのが
まるでシンデレラの様だった。
副部長との逢瀬を早々に切り上げ尋問し
名前とある程度のスペックを入手し
ご満悦の樹は
イヤリングを持って、翌日待ち伏せをした。
ーーー獲物は、まんまとひっかかった。
しかし、予想以上に
五十嵐さくらは憂鬱だった。
樹の予想以上に、樹を悩ませた。
樹に焦らされ火照る正直な身体は
今までの女以上に感度が良く濡れやすく
樹の脳内を揺さぶった。
それ以上にさくらの心は頑なで
大好きな彼氏への罪悪感は
快楽をもってしても抜けない。
今までと同様に、一思いに犯してしまえばいいのに
それもできずに
樹の方が焦らされた。
さくらのいじらしい反応に
溺れたのは、樹の方。
すぶずぶと、
深い水底に落ちる様に
さくらの憂鬱な瞳と
美しくはかなげな身体に
悩まされたのは樹の方。
おそらく、もう戻れない。