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第6章 修道女

「いや！」

ルイーズは石の床を必死で這おうとした。
だが腰はしっかりと抱え込まれている。

「ああ、助けて、神様、かみさ……――ラウル！」

叫んだ瞬間、少年の動きが止まった。

「――それ、好きな人の名前？」

叫んでしまったルイーズも驚いていた。
どうしてここで弟の名前を口にしてしまったのか。

好きな人？

違う。
自分はただ、弟に助けを求めただけで。

違う違う。
これは恋ではない。

だって、ラウルは弟で、自分はその姉だ。
姉弟で惹かれあうなんて、それこそ許されない――。