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第2章 母と息子

「女房を誘惑しやがって！　その女顔、気味悪いんだよ！」

頭から水をぶちまけられた。
叩きつけられるようにドアが閉まる。

「待って――」

アルベリオは立ち上がり、男の家に近づこうとした。
中から夫婦喧嘩の怒鳴り声と、皿の割れる音が聞こえてくる。

ふと、窓から子供がこちらを見下ろしているのに気付いた。
その目には母を誘惑した悪魔に対する敵対心と、侮蔑の色が見えた。
アルベリオを頼ってきた時の、キラキラした親愛の眼差しはどこにもない。