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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
繁華街の奥に、焼き鳥屋さんがあった。


周りの店からは、帰宅する人が出てきていた。


そんな中、焼き鳥屋は賑わっていた。


女性は、わたしだけ……。


赤ら顔のおじさんばかりだった。


「うまいから。なに、食べる?」


「こういうお店、初めてなんで。
一緒のものでいいです。」


瓶ビールをふたりで飲んだけれど、
わたしは一口、二口で十分だった……。


疲れで……限界だった。


彼の頼んでくれた焼き鳥は、
おいしかったのだけど。
食べられなかった……。


「おいしくなかった?」


わたしは、大きく首を振った。


「ちょっと……疲れてて。」


「大丈夫?」


わたしは、コクンと頷いた。


彼は、無言で焼き鳥を食べ終え、


「店、出よう。」


と、わたしの背中をポンポンと叩いた。


店を出て、


「少し、休んでから帰ろう。」


と、言って、
彼は、少し歩いた。


曲がり角を曲がって……


え?


わたしの目の前に、
ラブホテルの看板が飛び込んできた。


こっちの方って、ラブホテルあったんだ……。


彼は、私の肩を抱いた。


「わたし……。」


わたしは、彼を見つめた。


「なにもしないよ。
そんなに、顔色悪いのに。
心配で、このまま帰せない。」


わたしは……なにも考えられなかった。
そのくらい、疲れていた。


彼に促されるまま、ホテルに入った。


部屋に入ると、
彼はわたしのコートを脱がせて、
ベッドに寝かせた。


わたしは、横になってホッとした。
体がゆるゆると、休まっていった。


彼は、わたしのコートをハンガーにかけ、
自分のスーツのジャケットも
ハンガーにかけていた。
そして、ネクタイをはずしていた。


ワイシャツにスーツのズボンを履いたまま、
わたしの横に寝転がった。


「大丈夫?」


そう言って、わたしの髪を撫でてくれた。


「少し、ラクになりました……。」


わたしは、ゆっくり微笑んだ。


横に添い寝している彼の顔は、
いつもと違う角度、
そして、なによりも近すぎて……。


彼の顔が近づいてくる。


わたしは、目を閉じた。


彼の唇が、わたしの唇に重なった……。


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