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~ 愛しい人へ ~
第2章 ~ 彼を想う ~
二度目のキスの後も、


相変わらず、なにも変わらなかった。


週末にデートすることもないし、


晩ごはんを食べに行く頻度が
増えたわけでもない。


ただ、彼とよく目が合った。


仕事は、年度末を迎え、
忙しくなった。


ランチが16時になった時はうんざりした。


でも、彼と一緒の時間があるから、
がんばれた。


でも。


限度があって、
さすがに連日22時までの残業は堪えた。


今日も、結局、22時まで……。


お腹がすきすぎて、気持ち悪い。


力なく、
「お疲れさまでした~。」
と、挨拶して、オフィスを後にした。


エレベーターホールで、エレベーターを待つ。


チーン。


エレベーターが着いた。


乗り込んだ瞬間、


「ちょっと待って。」


と、声がした。


うちの会社以外は、使っていない時間帯だしと、
開ボタンを押していた。


「ゴメン。」


駆け込んできたのは……彼だった。


「お疲れさまです。帰って大丈夫なんですか?」


彼の仕事も大変なことは、わかっていた。


「大丈夫もなにも。たまには帰らないと。」


「そうですね。」


「ごはん、食べに行こう。」


「もう遅いですよ。
着いたら、お店、閉まってますよ~。」


「遅くまでやってる焼き鳥屋かあるから、
そこ行こう。」


エレベーターを降り、
大通りから地下鉄へ向かうのだが、


「タクシーで行こう。
しんどいだろ?」


彼はそう言って、
やってくるタクシーを停めた。


ふたりでタクシーに乗った。


久々にデート……。


身体はもうヘトヘトだったけれど、
気持ちには勝てなかった。


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