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第5章 ～　千帆を想う　～

朝起きて、


仕事に向かう電車の中で


仕事中もランチの時も


家事の合間も……。


わたしは、メールのチェックばかりしていた。



ある日、
ご主人さまが募集していた掲示板を見た。



誰かの書き込みがあったなら……。


ご主人さまのことをあきらめよう…と。


５０歳代で検索した。


掲載日は覚えていた。


なのに……、「優二」という人の
募集は消えていた。


わたしは、自分の時のことを
思い出していた。


わたしの掲示板に
「慎二」という名前とメールアドレスと
簡単な文を載せていた。


わたしと、何回かメールを交わしてから
その文は消えていた。


直感だった。


きっと、新しい奴隷さんと
出逢ったのだと……。


泣きたくても、泣けなかった。


それは、彼……との時もそうだった。


既婚者の恋愛は、
泣くほどつらくても……、
泣くことはできない。


それは、とても当たり前のこと。


人の倫から外れているのだから。


わたしは、
ただ、
息をしているだけ……。


彼と別れて、
祖母と別れて……
あの時と同じように
なにも食べられず、
眠ることもできなかった……。