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~ 愛しい人へ ~
第3章 ~ 私を想う ~
彼は、ゴールデンウィークから


咳き込むことが多かった。


心配だったので、


忙しくても、


病院へ行ってください!


と、わたしは何回も言っていた。


彼の職場まで、食事に行って以来、


彼は、さらに咳を悪化させていた。


電話をしても、しゃべるのがつらそうだった。


だから


電話を控えた。


メールも、控えた…………。


彼との距離が、


遠くて、遠くて。


彼の体調のことだけじゃなかった。


わたしは、


もしかしたら、


彼は、他に好きな人が、


いるんじゃないかと…………


思っていた。


ゴールデンウィーク、


食事の時、会話の流れで


「私だけじゃなくて、
他にも彼女いそうです。」


と、私は、彼に言った。


「いないよ。」


彼は、ビールを口に運んで


そう言った。


「桃のおいしい県の時は?」


「いないよ。」


本当に?


いつも、会話に出てくる女性がいたよね。


「じゃあ、杜の都の時は?」


「いない。」


「え~、風俗行ったって
言ってたじゃないですか?」


「それはそれ。」


わたしは、風俗は恋愛じゃないし、


あまり気にはしないけれど……。


「じゃあ、こちらにいる時に
キスした人は?」


「…………ともだち。」


「え~、本当ですか。」


笑いながら、答えたけれど。


彼の一瞬の「間」が、


答えだったような気がした。


彼とキスした人は、


彼に


「抱いてほしい。」


と、言った人。


彼が、


「抱いてほしいと、言われたけれど
会社の女性には手を出したくないから」


と、数年前、言っていた。


彼は、社会人になった時、


会社の女性には手を出さない……


と、決めていたらしい。


そのこだわりを破ったのは


わたし


の存在だった。


つきあってからも、時々、


彼に言われた。


自分の決まりごとを


破ったのは、


七瀬だけだと。


だから


彼女は、ともだち?…………なの?


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