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片想いの行方
第13章 好きでいても、いいですか?
……あれ……?

一瞬、経験したことのない、ふわりとした感覚があった。

それがそのまま続いて、今までビート板を掴んでいた手から、すうっと水の感触が伝わって

……あたしの伸ばした両手を

もうひとつの大きな手が、優しく包んだ。


「……はぁっ……!」


水面から顔をあげると、すぐ目の前に蓮くんの顔があった。


「…………っ」


その近さで、ドキッと心臓が鳴る。

すると……


「お姉ちゃんすごぉぉい!!!」


振り返ると、パチパチと手を叩いた陽菜ちゃんが目に映った。


「……え……?」


何がなんだか分からない。

だけど……

最初に立っていたところから、一番奥まであたしは移動している。

そして、何よりも……

今、蓮くんがあたしの手を握っている……


「ビート板を外して真ん中からだから。
5m進んだよ」


蓮くんが片手を離し、後ろを指さして言った。

~~~あたし泳げたの!?

……でも


「ご、5メートル……」


普通だったら壁を蹴っただけで進む距離だ。

あまりの短さにちょっと凹んじゃうな……
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