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片想いの行方
第16章 治らない傷
優香がそのまま黙ってしまったので、俺は彼女の手を取った。


「ごめん。
夏が終わったらもっと時間作れるから、それまで待ってて?」

「……うん、分かってるよ。
分かってるけど、ちょっと寂しい」


そうだよな……

優香の方が夏休みは長いのに、全然どこにも行ってない。

俺は、握り締めた手に力をいれた。


「ごめんな……優香」

「ふふっ、いいよ。
その代わり、今ここでギュッてして?」


ぼんやりと照らされた街灯の下で

俺は優しく包み込むように、優香を抱きしめた。



「蓮、大好き。
蓮が私を助けてくれたから、今の私がいるんだよ。
これからも、私だけを愛してね?」

「……あぁ」



優香は体を少し離して、俺の顔を両手で包んだ。



「蓮、私のこと……… 好き?」


「好きだよ」


「姫宮くんと、親友に戻れないんだよ?
……いいの?」



優香が真っ直ぐに俺を見る。


俺はその瞳を見つめ返して、ゆっくりと顔を近付けた。



「……いいよ。

優香がそう願うなら」
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