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片想いの行方
第18章 彼女の本性
優香さんに指定された駅前で、バスを降りた。

夕方の5時になっても空は明るくて、ベタつくような暑さが残っている。

彼女の姿を探そうと周りを見渡した時、ちょうど携帯が鳴った。


『美和ちゃん、こっちよ。 目の前にいるわ』


まっすぐ前を見ると、カフェの前で優香さんが手をあげた。

あたしは深呼吸をしてから、ゆっくりと近付いていく。


「来てくれて嬉しいわ。
さぁ、入りましょう」


白い麦わら帽子の下で、優香さんは微笑んだ。


「……はい……」


心臓がドキドキと鳴り続ける。

あたしはギュッと手を握って、優香さんの後について行く。

そのカフェは2階建てになっていて、あたし達は階段を登った。


「ごめんね。 私、エアコンが苦手なの」


誰も座っていないテラス席。

それでも、すぐ近くにある大きな木が影を作っているから、思ったほど暑さは感じなかった。


「私はホットコーヒーを。
美和ちゃんはアイスコーヒーにする?」

「いえ、あたしは……苦いの飲めないので…」

「ふふっ。そうなんだ。姫宮くんと同じだね」

「………!」


ヒメの名前が出て、あたしは優香さんを見る。


「コーヒーにも、アイスティーにも、ヒメは必ず砂糖を入れるよね。
デートの時もいつも店員さんが間違えて、甘い物を私の方に置くから笑っちゃう」

「…………!」


優香さんは思い出すようにクスクスと笑っている。

その胸元で、ターコイズのネックレスが揺れていた。
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