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片想いの行方
第22章 ゆらめき
「香月……ごめん」
蓮くんが心配そうな顔であたしを見る。
「怖かったよな。
まだ慣れてねーのに、急に入れたりして悪かった」
……違うよ、蓮くん……
あたし、全然怖くない。
だけど……
胸がドキドキして、破裂するように痛い。
「……蓮くん……」
蓮くんの後ろに、大きな月が見える。
先生が照明を消したから、さっきとは違う柔らかい灯りが水面を照らしていた。
ゆらゆらと、プールに月の影が映る。
「…………」
蓮くんのキレイな顔がすぐ近くにあって
あたしの目が、蓮くんの鋭い目に映っている。
鍛えられた腕が、あたしの背中に触れている。
……なんか変だ……
ドキドキして、何も考えられない。
だけど……なぜか体が勝手に動く………
あたしは、両手で蓮くんの頬に触れた。
「……香月……?」
静けさと
水の揺らめきと
妖艶な月灯り
……変なのは、きっとそのせいだ。
「…………っ」
あたしは何かに取り憑かれたかのように
蓮くんに顔を近付けて
そっと自分の唇を重ねた。