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片想いの行方
第28章 目を覚ませ

* * *
河原の水にタオルを冷やして、ヒメに殴られた頬にあてる。
「大袈裟だなー。
男のくせに顔なんて気にしてんじゃねーよ」
自転車は土手の上に転がしたまま
殴った張本人が俺のすぐ後ろで、石の上に寝転びながら声をかけてきた。
「…………」
……てめぇが冷やせって言ったんじゃねーか……
俺は無言のままヒメに背を向ける形で、川のすぐ側に座る。
9月中旬を過ぎた今では、暑さも大分和らいでいて
俺達の間を、爽やかな風が吹き抜けていった。
「……俺だって、変だとはどこかで思ってたよ」
しばらくして、自分から口を開いた。
「あの日優香の部屋で、お前に見られた事に動揺して
……今振り返っても、ちゃんと考えてなかったと思う。
だけど、目の前で震える優香を見て……
優香の言う通り、お前が無理矢理してたのなら
どうしてもお前が許せないと思った」

