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片想いの行方
第31章 片方のピアス
………………………………………………
住宅街の坂道を抜け、階段を上がった先
夏祭りの時に美和と来た、公園の入口に着いた。
俺の後ろを、びくびくしながら付いてきた美和を思い出す。
……なんだか、すげー昔の事のように感じるな……
俺はゆっくりと斜面に向かって足を進めた。
そして
眼下に広がる川原を見つめて
1人で座り込む彼女の姿を見つける。
俺と同じ色の髪が、太陽に照らされてキラキラと光り、風に揺れていた。
「……………」
俺は無言のまま近付いて
優香の隣りに座った。
「………何をしに来たのよ」
俺の顔を見ずに、優香が口を開く。
「お前こそ、なんでこんな所にいるわけ?
大事な彼氏がまさに今、都大会で泳いでるんじゃねーの」
「………………」
俺の言葉を聞いて
しばらくの間沈黙していた優香が、ふうっと溜息をついた。
「私、水泳に興味無いもの。
……それに
引き離した張本人のくせして、しらばっくれないでよ」
「…………」
「……蓮は、彼氏じゃなくて
4日前から、“ 元 ” 彼氏」