パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第42章 もうひとつの世界

この会社に就職してから、５回目の冬。

来月のボーナスとクリスマス、そして年末需要と、アパレル業界は最も忙しい時期に突入している。

同期で入社した販売員のみんなも、今はほとんどがショップマネージャーになっていて

閉店後も対応に追われる激務が続いていると、この前の同期会で嘆いてた。

本社で生産・発注管理をしている私も、忙しさはピークになっていて

朝30分遅刻しただけで、仕入れ先からのメールが鬼のように届いていた。


＊　＊　＊


「あ～～全っ然終わらない」


時計の針が午後の１時をさしたところで

奈々さんが大きく伸びをする。


「美和ちゃん、先にお昼行っちゃってくれる？
私この発注片付けなきゃいけないから、後でいいわ」

「……はい、ではすみませんがお先に」


縫製工場とのやり取りを終えてキリがよかった私は

奈々さんに促されるまま、ランチバックを持って席を立った。