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片想いの行方
第45章 あの頃とは違う
「…………っ」


わ、私を抱きかかえて……!

衝撃的な事実に、声が出ない。

放心したままの私を楽しそうに見て、菜々さんは続ける。



「彼、美和ちゃんを抱えた時に、 “ 美和 ” って呼んだからさ。

エントランスで救急車を待ってる時に、知り合いなのかって聞いたんだよね。

そしたら、高校の時の同級生なんですって教えてくれたの」


「………!」


「そんな2人が同じ会社で再会して、倒れた美和ちゃんを助けるなんて。

昨日は美和ちゃんが心配で気が動転してたけどさ。

なんかもう、ドラマみたいで私久しぶりにドキドキしちゃってるよ♡」


キャッキャとはしゃぐ奈々さんの横で、私も心臓がドキドキと鳴り続けていた。

……こんな偶然って、滅多に起きることじゃない。


「美和ちゃん、彼氏いないんだし。
もしかしたら、姫宮くんとの再会が恋の始まりになるんじゃない?
あ、それとも実は元カレとか!?」

「……まさか。違いますよ」


私は小さく笑うと、ソファから立ち上がった。
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